忘れもしない【昭和60年8月12日月曜日】
あの日から31年の月日が訪れようとしている。
30年という節目を迎えたからこうして書ける内容なのかもしれない。
その日は、前日から深夜徘徊して帰宅したのが8月12日の朝方だった。
目が覚めると陽はとうに頭の上を通り越していて午後2時になろうかという時だった。
友達4人で【プールにでも行こうか】と話し、市営プールへと自転車を飛ばした。
丁度、到着したのはプールが終わる30分前。遊び盛りの中学生には30分という時間はあまりにも短すぎて予定を変更する。
四人で作戦会議していると誰かが【そういえばあの海水浴場遠浅でいあんぜ!】ってことになってせっせと自転車こいでその海水浴場へ。
予め、海水パンツをはいていたので早速、泳ぐことに・・・
しばらくわいわいと遊んでいるうち遊泳範囲のロープで遊んでいると大きい波がきて私と友人は沖のほうに流されてしまった。当時、離岸流というのは知られていなかった頃で多分、その離岸流に沖まで連れていかれたのかもしれない。
ここからは信じるか信じないかは読んでいる方にゆだねたいが、友人が【誰かからなんか足ひっぱらいる!】としきりに言っていたのを覚えている。
・・・
しばらくして友人の姿は消え、私もほぼ溺れかけている時に救助の方に助けられた。
浜辺で人口呼吸をされている友人をただ茫然と眺めていたら救急車が到着して友人と私は病院に運ばれた。
私は海水を多少飲んだだけだったので検査後すぐに病院から家に帰ってきた。
家では家族は会話もなくテレビから流れている映像を茫然と見ていた記憶しかない。
その沈黙を破るかの如く一本の電話が鳴った。
母が電話にでて、泣いていた。
友人は亡くなったということだけはわかった。
ここからの記憶は31年が経とうとした今でもぼんやりとしか覚えていない。
それから何日か経ったのかわからないけど同級生が心配をして訪ねてきてくれた記憶はあるけど、記憶がかなり曖昧でほとんど覚えていない。
それ以来、海に入ろうとすると身体が震え怖くて入れなくなってしまった。
今年、30年ぶりに息子から強引にプールに誘われ、なんとか入る事が出来た。その日、疲れたのかはたまた気が抜けたのかぐっすり眠った記憶がある。
来年は海で泳げるようになりたいな。