KAIDAN
深夜の路地裏で交わした約束が消えたその日
30日恐怖度★☆☆☆☆2票・残り28日
その夜、僕はいつもの帰り道を変えてみた。いつもなら通らない細い路地を抜けてみたくなったのだ。路地は静まり返り、街灯もまばらで薄暗かった。足音だけがカツカツと響く中、ふと前方に小さな人影が見えた。
近づくと、小学生くらいの男の子が壁に背を預けて座っていた。僕は驚かせないように静かに声をかけた。「こんなところでどうしたの?」男の子は顔を上げ、ぽつりと「約束、守ってくれた?」と言った。
一瞬、何のことかわからなかったが、その言葉に見覚えがあった。思い出したのは幼い頃、近所の子どもたちと秘密の約束を交わした日のこと。僕は笑いながら「守ったよ」と答えた。男の子はにっこりと笑ったが、すぐに表情を変え「でも、僕は消えるんだ」と言った。
僕が戸惑っていると、彼は立ち上がり小さな手を差し出した。「一緒に来てくれる?」僕は躊躇したが、不思議な引力に逆らえず手を握った。その瞬間、まわりの景色が歪み始めた。
気づくと、僕たちは見覚えのない昔の町並みにいた。色褪せた家々、誰もいない広場。男の子は言った。「これは僕の世界。もうすぐ全て消えてしまう。約束を守るために、誰かに覚えていてほしかったんだ」。
理解しようと必死になっていると、彼が急に静かに消えた。僕は一人ぽつんと取り残された。さっきの約束とは、彼の存在を覚えておくことだったらしい。
翌日から、僕は誰にも話さずにその夜のことを胸の中に閉まった。ただ、時々深夜の路地を通るたびに、どこからか微かな笑い声が聞こえるような気がしてならないのだった。
この話、どうだった?
公開後30日間の読者投票で恐怖度が決まります。
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