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KAIDAN

深夜の坂道で拾った古い鍵が繋ぐ静かな囁き

2026年10月27日 短編 | 管理人投稿
30日恐怖度☆☆☆☆☆0票・残り27日

深夜の坂道を歩いていたとき、不意に足元で金属の冷たい感触がした。しゃがみ込むと、そこには小さな古びた鍵が落ちていた。錆びついてはいるが、繊細な細工が施されていて、どこか不思議な魅力があった。手に取ると、まるで鍵自体が微かな囁きを漏らすような気がした。

鍵を持ったまま歩き続けるうち、ふと気づくと見慣れぬ細い路地が目の前に現れていた。周囲には街灯もなく、ただ月明かりが木々の影を揺らしている。なぜか自然にその路地に踏み入れ、狭い道を進んでいくと、やがて古い錆びた門にぶつかった。鍵穴がぴったりと手中の鍵に合い、そっと回してみると、軋む音と共に門は静かに開いた。

その先は小さな庭園のようで、朽ちたベンチや雑草が生い茂り、まるで時が止まったかのようだった。庭の奥には小さな祠があり、鍵を拾ったときの囁きはここから聞こえてきたように感じる。祠の中には小さな木札があり、そこには僅かな文字で「忘れられし願いは時に届く」とだけ記されていた。

その瞬間、背後で微かな風が鳴り、足元の枯葉が静かに舞い上がった。振り返ると、門がすっと閉じていた。慌てて鍵を探すが、手からはすでに消えていた。持ち帰ることは許されなかったのだと、ふと気づいた。

次の日、あの路地はいつもの通りのただの壁になっていて、あの門も祠も跡形もなかった。ただ、心の奥に、小さな囁きがそっと残っているような気がしてならなかった。

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公開後30日間の読者投票で恐怖度が決まります。

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