KAIDAN
薄明かりの神社で見つけた、消えた祭りの灯火の謎

30日恐怖度★☆☆☆☆1票・残り30日
📖 創作怪談:この物語はフィクションです。実在の人物・団体・場所・事件とは関係ありません。
秋の終わり、街外れの小さな神社に足を運んだ。昔からの祭りが消えたと聞き、興味本位で訪れたのだった。神社は静まり返り、薄明かりの中に鳥居と苔むした石段がぼんやりと浮かんでいる。境内には誰の気配もなく、冷たい風がささやく。
足を踏み入れた途端、何か古ぼけた灯籠の火を見たような気がした。だが周囲を見渡すと、既に秋の冷気が灯りを消したのか、どこにも光は確認できない。突然、遠くの林の奥から微かな笛の音が聞こえた。祭囃子のようにも聞こえ、しかし誰もいるはずがない。
笛の音に誘われるように、ゆっくりと林の縁まで歩いていくと、朽ちた屋台の残骸が散らばっていた。かつての祭りの賑わいを想像しながら辺りを見回すも、人はもちろん灯火もなかった。だが、ふと振り返ると、神社の瓦屋根の上に揺らめく灯りが見えた。
心臓が早鐘を打つ。灯りは消えかけ、今にも消えそうに細い。何度見てもそこにある。歩み寄ろうとすると、灯りはふっと薄れて消える。暗闇だけが広がるその瞬間、祭りの声が遠くから一瞬だけ響き渡った。歓声と太鼓の音、そして誰かの笑い声。
次の瞬間、辺りは静まり返り、冷たい夜風が再び神社の境内を撫でた。灯りはもう戻ることはないだろうと直感した。祭りは過去の記憶に消え、その灯火は誰のものでもなく、訪れた者の記憶だけにひっそりと灯るものだった。
この話、どうだった?
公開後30日間の読者投票で恐怖度が決まります。
ADVERTISEMENT


